コリーヌ・アトランは1956年に生まれ、1976年INALCO(フランス国立東洋言語文化学院)で日本語学科学士課程を卒業。その後フランス語教師として15年間アジアに滞在し、東京、京都、名古屋など、そしてネパール(カトマンズ のフランス文化センター)で教鞭をとる。
1990年代のはじめにフランスに帰国後、文学作品の翻訳を始め現在までに小説を主として詩、戯曲など60以上に及ぶ日本語作品の翻訳を行う。
『世界の終わりとハードボイルド』(1992 スイユ出版)から『海辺カフカ』(2006 ベルフォン出版)に到る多数の村上春樹作品翻訳の功績を認められ、2003年に『ねじまき鳥のクロニクル』で小西国際交流財団の翻訳文学賞を受賞。
彼女の翻訳による辻仁成『白仏』(フォリオ出版)は1999年のフェミナ-外国小説賞を受賞。村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』(ピキエ出版)、林芙美子『浮雲』(ロシェ出版)、その他、浅田次郎『蒼穹の昂』や井上靖『楊貴妃伝』(共にピキエ出版)など多くの歴史小説の翻訳がある。
ポエジーでは、詩人ゼノ・ビアニュ氏との共著で俳句集『俳句,日本の俳句名選集』(2002)、『二十世紀の俳句-現代日本の俳句』(2007)の二冊がガリマール出版《ポエジー叢書》から、また訳者自らが選と解説を行った、黛まどか俳句選集『Haïkus du temps présent/折々の句』が2012年ピキエ出版から刊行されている。和合亮一の『詩の礫』のフランス語版が(2016)が2017年ニュンクレヴューのポエジー賞を受賞。
コリーヌ・アトランはMaison Antoine Vitez(アントワーヌ・ヴィテ国際戯曲翻訳センター)の日本語戯曲審査会のコーディネーターでもあり、彼女の翻訳による幾つかの戯曲が既にフランス、スイスで舞台にかけられている。坂手洋二『屋根裏』が2010年パリのロン・ポワン劇場で、岡田利規『三月の五日間』が2013年ジュネーブ・グリュトリ劇場と、2014年アヴィニョン演劇祭で、野田秀樹の[エッグ]が2015年パリのシャイヨー劇場で上演された。 又村上春樹の短編『眠り』の翻訳は脚本化され2015年にパリの制作座にて『Nuits Blanches/眠りのない夜』の題名で上演された。2016年6月パリのケ・ブランリ美術館内レヴィ=ストロース劇場で上演の宮城聡作『因幡とナバホの白兎』を翻訳し、2017年アヴィニオン演劇フェスティバルで話題になった宮城聡上演『アンティゴネ』の字幕制作。
コリーヌ・アトランは翻訳家であると同時に自らも執筆を行っており、その作品には、翻訳についての考察『Entre deux mondes/二つの世界の間』(2005) Inventaire/Invention出版、エッセイ『Japon, l’empire de l’harmonie/調和の帝国、日本』(2016) Nevicata出版と、 小説『Le Monastère de l’aube /暁の僧院』(2006)アルバン・ミッシェル出版、小説『Le Cavalier au miroir/鏡を持つ騎兵』(2014) アジアテック出版がある。